呼吸(いき)するように愛してる
「本当にすみません!ご迷惑をかけたお詫びは、また何かの形でしますので!」

「“お詫び”と言うより“お礼”と言ってもらった方が、いいかな」

「はい?」

須賀さんの口調が、少し変わった気がした。

「そうだな…お礼は…食事でどう?」

「…はい、それでよければ……」

須賀さんの口調が、急に変わった事に戸惑いながらも、そんな事でいいなら…とOKした。

「じゃあ、どこに行くか考えておく。まずは、明日だね」

その後、須賀さんに苦笑されるくらいお礼を言って、電話を切った。フゥ~と、大きく息を吐いた。

とりあえず、よかった~!明日は、いつもより早めに出勤しよう!

この時の私は、自分のミスを何とかする事ばかりを考えていて、須賀さんとした約束の事を、あまり深く考えていなかった──



*****



あぁ……憂鬱……

慌ただしい月末を過ぎ、五月となった。『GW』に突入していて、今日の夜、先日約束した須賀さんへの“お礼”で、食事に行く事になっている。

須賀さんのおかげで、きちんと正しい所得税を納められた。

本当によかった!……でも、お礼の食事を簡単にOKした事を、ものすご~~くっ!後悔している。

お店を決めたのは須賀さん。私のスマホに須賀さんのプライベートなスマホからメッセージをもらうまで、その事は頭の中からとんでいた。

デキる男は、相変わらず仕事が早い……

グループで会う合コンでも気が重かったのに、今回は須賀さんと二人きりだ。

「このままでは、終わりません」須賀さんに、耳元で囁かれた言葉が甦り、さらに、気持ちが沈む。

本当は行きたくない!でも、須賀さんにはお世話になったし……それに逃げていても、結局また、須賀さんに追い詰められる気がする。

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