呼吸(いき)するように愛してる
須賀さんとの待ち合わせ場所は、繁華街の近くにあるデパートの正面玄関。

もちろん違う出入口で、お母さんの車を降りた。

デパートの中を通って正面玄関に向かうと、須賀さんはすでに到着していたが……

『きれいなおねえさん』と、お話し中。

美男美女で、お似合いだなぁ……

外へ出る最後の扉の前で、須賀さん達の様子を、しばらく眺めてしまった。

微笑みを湛えておねえさんと何かを話しながら、須賀さんの視線が動いて、私とバチッと目が合った。

ヤバッ!……とっさに身を隠したくなったけど、そういう訳にもいかず、とりあえず曖昧に笑ってみた。

須賀さんの視線がグッ!と、射すような冷ややかなものになったけど、すぐに爽やかな王子様スマイルを浮かべ、私に向かって片手を上げた。

おねえさんも、須賀さんの視線を追って私に気付く。きれいな微笑みを浮かべた顔から、一気に不機嫌なものになった。

何か、怖いっ!二人ともっ!!

私が扉を開けて出ていくと、「じゃあ」とか言っておねえさんが須賀さんから離れた。

ゆっくりと須賀さんに近付く私に、一瞬送られたおねえさんの視線は、凍りそうなほど、冷たいものだった。

きれいな人の冷たい視線は、マジで怖いですからっ!

「おっ、お待たせしました!」

「しばらく、見てたんだよね?どうしてすぐに来なかったの?」

須賀さんの前に立ち、ペコッと頭を下げた私に、いきなりそう言い放つ須賀さん。

「あっ!……えっとー…お邪魔かなぁなんて思いまして」

「……とりあえず、店に向かおう」

おっ!?もっといろいろ言われると思ったのに。よかった……

「待ち合わせだって言っているのに、一緒に飲みに行こうとか、連絡先を教えろとか……かなりしつこかったんだよ」

歩き始めてすぐに、須賀さんが不機嫌に話し出した。やっぱり、あれで終わらないか……

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