呼吸(いき)するように愛してる
「きっ、きれいな方でしたね。私なんかよりも、あの人と一緒の方が、楽しめそうかなぁ…なんて!」

「……それ、本気で言ってるの?」

チラッと須賀さんに落とされた視線が、冷たい……

「すっ、須賀さん、カッコいいし!モテますよね!…そんな須賀さんが、私みたいな、特別可愛くもなく、頭がよくもなく、楽しくもないヤツと一緒にいても、つまらないのではないかと!」

何で私、自分のダメな所、全力アピールしてるの?……落ち込む……

それでも、がんばって笑ってみる。かなり、引きつっているけど。

「やっぱりそうだよな。美羽ちゃんの自己評価が、どうしてそんなに低いのか、探ってみようか」

唇の片端だけを上げた須賀さんの黒い笑みに、私はコチンと固まった。

「美羽ちゃん」といきなり呼ばれた事とか、自己評価が低いと言われた事等々……

いろいろ気になる所はあったのに、私はそれ以上何も言えなかった。



須賀さんが連れてきてくれたお店は、何と言うか、おもしろいお店だった。

『多国籍料理居酒屋』とでも言うの?お店の雰囲気も、お料理のメニューも、アジアンというか、中近東っぽいというか。

お店の中は、微かにお香の香りがした。

五~六席ほどのカウンター席に、衝立やカーテンのような布で細かく仕切られた、個室風のテーブル席がいくつか。

そんなに広い店内ではないのに、衝立やカーテンのような布が目隠しとなって、ちょっとした迷路みたいにも見えた。

私達が案内された席は、ペイズリー柄の布が掛けられたローソファーがL字型に置かれていた。一脚は一人掛けで、もう一脚は二人がゆったりと座れるぐらいの大きさ。

ガラス天板のローテーブルの上には、アロマキャンドルが置いてある。案内される時に見えた感じだと、各テーブル席にアロマキャンドルは置いてあるようだ。

そこかしこに、大小様々な木彫りの動物が置いてあったり、壁には、どこの国のものかわからないお面がかけてあったり。

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