呼吸(いき)するように愛してる
「栗原主任は、お隣同士の幼なじみだって?」

注文したお料理が一通りテーブルに並んだ頃、須賀さんにそう訊かれた。

「はい。…この間は、突然帰ってすみませんでした!」

背筋を伸ばして、須賀さんにペコッと頭を下げた。

「うん。あんな風に、栗原主任が連れて帰るなんて…マジで、びっくりした」

須賀さんが、苦笑しながら言う。

「でも!須賀さんのせいで、苦手な合コンに、無理矢理参加させられたんです!だから、私にはちょうどよかったんです!」

フン!とそっぽを向いた後、チラッと横目で須賀さんを見る。須賀さんは、目を丸くしていた。

「な~んて!半分冗談です」

「半分は、本気か……」

ペロッと舌を出して言ったら、須賀さんがボソッと呟いた。

須賀さんに対して、冗談が言えるなんて……
ここに来る時の気持ちを考えると、嘘のようだ。

それから須賀さんは、銀行の仕事の事なんかを話してくれた。

私には、想像もつかない世界のお話。須賀さんはおもしろおかしく話してくれるし、匠くんも体験してるのかな…なんて思えば、熱心に聞いていた。

おいしいお料理とお酒を楽しみながら、いつ頃からか須賀さんに聞かれる事を、ついついツラツラと喋ってしまっていた。その時は、気付いていなかったけど。

……やっぱり私は、バカなんだ。

後になって思ったが、須賀さんと知花さんは、何となく似ている。

上手に話を振り、的確な相槌を打つ。うまくまとめられないと、質問をしながら、私の言いたい事をくみ取ってくれる。

生春巻にナシゴレン、モッツァレラチーズとベーコンのサラダに、他にもいろいろ。

生ビール二杯に、モヒート一杯。

しっかり食べたし、強いお酒を飲んだ訳でもない。

……お店の雰囲気と、須賀さんとの会話に、すっかり酔わされてしまったのだろうか……?

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