呼吸(いき)するように愛してる
この日、どうしてこんなに短冊を書く事に拘ったのか、自分でもわからない。敢えて言うのなら『幼かった』て事かな……言い訳だけど。

急ぎ足でズンズン歩いた。誰にも言わずに出てきてしまったから、急がなきゃ!

私は、いろんな意味で焦っていた。

ラッキーだったのかアンラッキーだったのか、歩いてる間、知っている人に会わなかった。もし近所の人に会っていたら「朝栗さん家の末っ子じゃない。一人?」なんて声をかけられて、家に連れ戻されていただろう。

『朝栗三兄妹』と言われていた匠くん達の影響力はすごく、年の離れた私まで『朝栗さん家の末っ子』と呼ばれるようになった。

私なんか全然普通なのに、中途半端に目を引いてしまうのが、恥ずかしい。

幼かった私にも、これがいけない事だとわかってる。でも、お母さん達に話しても「匠くんが帰ってくるまで、待ってなさい!」そう言われる事も、わかっていたから……

コウくん家は、あそこの公園を抜けて曲がって、次の角をまた曲がったらすぐだった。……大丈夫!ちゃんと覚えてる!

公園の中も、ズンズンと歩いていく。この公園には、簡易的な球場もあったりしてわりと広い。

広いわりには遊具が少なく、手入れもあまりされていない感じで……普段から、公園の利用者は少ないと思う。

ほら、今だって……まだ明るいのに、公園で遊んでいる人はいない。

公園を囲むように歩道があって、公園で遊ぶ人より、抜け道として使う人の方が多いんじゃない?……てお母さん達が話していた。

がんばって歩けるように、お気に入りのサンダルを履いてきた。水色のキラキラしたサンダル。小さなリボンが付いている。

お姉ちゃんのお下がりだけど、一目見て気に入った。私の足が、ようやくそのサンダルを履けるぐらいまで成長したから。

短冊にシワが寄らないように、大事に持ちながら早足で歩き、公園の出口についた。

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