呼吸(いき)するように愛してる
必死にしがみつく私の腕をそっと外すと、私と目線を合わせるようにしゃがむ匠くん。

「匠くん!……匠…くん……」

今度は匠くんの首に腕を回して、ひたすら、会いたかった人の名前を呼んだ。

「美羽!よかった…何ともなくて……」

そう安堵の言葉を呟いて、匠くんは私の背中を、優しく何度も擦っくれた。

しばらくして、大洪水をおこしていた私の涙が、ようやく落ち着いた頃、匠くんがそっと私の身体を離した。

涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった私の顔を見て、プッ!と小さく吹き出した。

「よかった、持ってきて」そんな事を呟きながら、ポケットからティッシュを出す。

一組取り出し、私の顔の涙や鼻水を拭く。また新しいティッシュを取り出し、開いて二回くらい畳むと、私の鼻に当てる。

「美羽、チーンてして」

思いっきりチーン!と鼻をかむと、匠くんが苦笑する。

「よし!いつもの可愛い美羽になった」

私の顔を見て、きれいになった事を確認すると匠くんは頷いて言った。

汗で貼り付いていた私の前髪を、指で避けながら、わざとらしく眉間にシワを寄せた。

「美羽のバカ!みんな、どれだけ心配したと思ってる!」

普段でも、あまり声を荒げる事のない匠くんの強い言葉に、私は肩をビクッ!と跳ねさせた。

「ごめん…なさい……」

私、匠くんを怒らせたんだ……

ドキドキしながら匠くんを見れば、変わらず、眉間に深いシワはあるけど、その下にあるのは、私がいつも見ている優しい色をした瞳だった。

……匠くん、怒ってない……?少し顎を引いて、上目遣いのような感じで匠くんを見つめる。

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