呼吸(いき)するように愛してる
夫婦二人で営んでいる、こじんまりとしたカフェ。メニューの種類は多くはないけど、どれを食べてもおいしい。常連さんがいて、混みすぎてもないし、寂しくもない。

たまたま二人で見つけて、すぐにお気に入りの場所になった。

厚切りベーコンのカルボナーラのセットを、二人とも注文する。

お料理の待ち時間と、おいしくパスタをいただいている合間に、匠くんの誕生日、みちるちゃん家から帰って以降の事を話した。

「美羽、よかったね。本当に、よかったね」

そう言いながら、柔らかく微笑むみちるちゃん。いつ頃からか、こんな風に包み込むように優しく笑うようになった。 ……やっぱり、リュウさんの影響かな?

「うん、ありがとう!みちるちゃんがいてくれたから、私の長い長い片想い、辛いだけじゃなかったよ」

みちるちゃんは、小さく頷いた。

「でも、勘違いって怖いね。…私も気を付ける」

「だねえ」と、私は苦笑いを浮かべた。

パスタセットに付いている紅茶とバニラアイスを食べながら、少し姿勢を正し、コホンと軽く咳払いをする。

今日は、みちるちゃんに聞きたい事があるのだ。

……恥ずかしいけど、多分みちるちゃんも恥ずかしがると思うけど、他に、こんな事を聞ける人はいない。

……イヤ、一人思い浮かぶけど、ちょっとコワくって聞けない。

「その……今まで、あんまり突っ込んで聞いた事、なかったけど……みちるちゃんが、はっ、初めての時はどうだった?」

アイスのスプーンを置いて、真剣にみちるちゃんを見つめる。

「?初めての時……て?」

私の真剣な様子に、みちるちゃんもスプーンを置いて小首を傾げた。

お店の中は適度に賑わってはいるけど、聞きたい内容が内容だけに、頭を少し前に出してみちるちゃんに近付き、声を落として聞く。

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