呼吸(いき)するように愛してる
お母さんは両手を胸の前で組んで、すがるようにお姉ちゃんを見つめる。

「美羽が保育園から帰ってきた時に、匠くんがコウくん家に遊びに行ってると言ったら、すごくガッカリしてた。その後、テーブルの上に短冊とカラーペンを並べてた。七夕祭りは、今週の金曜日にある……」

お姉ちゃんが三人の顔を見ると、みんなもう、お姉ちゃんの言おうとしている事をわかっているようだった。

「短冊を一緒に書きたくて、コウくん家に匠くんを迎えに行ったんだと思う」

三人が揃って、ハァ~…と溜め息をついた。

「昨日の夜、美羽が何か言いたそうにしてたのに、九時を過ぎていたから『おやすみ』て言った……」

匠くんは、右手をギュッ!と強く握った。

「美羽ったら、どうしてお出かけ用のサンダルなんか履いて行ったの?」

呟くようにお母さんが言う。

「リビングから美羽がいなくなって、トイレにもいなくって……でもいつも履いている靴が玄関にあったから、美音の部屋にいるんだろうって、そう、思っちゃったじゃない!……」

呟くような声量だったお母さんの声が、だんだん強さを増していった。

「コウくん家は、美羽がよく行く場所じゃないから、不安だったんじゃないかな。がんばる力がほしくって、お気に入りのサンダルを履いたんだと思う」

お姉ちゃんが静かに答えると、またもや三人が揃って、溜め息をついた。

すごい……お姉ちゃんには私の気持ち、何でもわかっちゃうんだね。……私の考えている事が、単純なのかな?

それから四人で、どう私を探しに行くか相談した。

『コウくん家に向かった』という事で間違いないと思ったが、念のため、いつも行く公園に要くん、ご近所で一番仲のいいマオちゃん家には、お姉ちゃんが探しに行く事になった。

匠くんは、コウくん家に電話をかけて、もし私が来たら、引き留めてくれるように頼んだ。

< 25 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop