呼吸(いき)するように愛してる
チラッとこちらを振り向きながら、匠くんが言った。

「でも……美羽、おもいよ?」

私は、躊躇った。迷惑をかけたくないと思ったのに、また、匠くんに無理をさせてしまう。

「確かに美羽は、大きくなったけど、僕も大きくなってるだろ?大丈夫!……それとも、僕におんぶされるのは怖い?」

「っ!怖くないっ!」

匠くんは、クスッと笑ってそう言った。そんな風に言われたら、私は慌ててしまう。

私は、匠くんの事を信じてる。

「匠くん、ごめんね。ありがとっ!」

短冊を片手に一枚ずつ持った。立ち上がり、匠くんの背中に、そっと体重を預けた。

「よし、しっかり掴まってて。立つよ」

匠くんは両手を後ろに回し、私の身体をしっかりと支えてくれる。そして、ゆっくりと立ち上がった。

「ワァッ!」

目線が、いつもよりグンと高くなって、私は思わず声を上げた。

「どうした?怖い?」

匠くんが首だけを回して、振り向いた。

「ん~ん!美羽のせがたかくなったみたいで、たのしいの!」

匠くんの首に、ギュッ!としがみつきながら言った。

「そっか…楽しいか……」

匠くんは、歩き出しながらそう言った。

匠くん、中学生になってまた背が伸びた。中学生の匠くんの背中は、私にとって充分に広かった。

首筋から、匠くんの汗の匂いがする。でも、全然イヤじゃない!私の家からこの公園まで、きっと走って来てくれたのだろう……

そう思うと、頬が緩んできてしまう。

家に着くまで、七夕祭りの事を話した。もちろん、オープニングに私達年長組が、ダンスをする事も。

匠くんとゆっくり話したのは久しぶりで、それだけで嬉しかった。

お家に着いたら、お母さんにギュッ!と抱き締められた。

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