呼吸(いき)するように愛してる
匠くんと一緒にお風呂に入っていた時期もあったけど、やはりこれも、匠くんが五年生になったくらいから入らなくなった。だから、あまり一緒にお風呂に入った事を覚えていない。

お風呂から上がると、匠くんが待っててくれた。

「匠く~ん!」

リビングにいた匠くんに駆け寄る。

「美羽ね、じぶんでかみ、あらえるんだよ!いいにおいするから、クンクンってしてみて!」

「すごいなー、美羽」

肩より少し長めの髪から、一房とると匠くんは自分の鼻に近付ける。

「うん!いい匂い!」

そう言って、ニッコリ笑ってくれた。私も、匠くんの言葉に満足して、テヘヘ…と笑い返した。

「美羽、髪の毛乾かすんでしょ?」

「おねがいしま~す!」

私が持っていたドライヤーを匠くんに渡し、匠くんが座っていたソファーに座る。

ドライヤーのコンセントを差して、私の右前に立つと、匠くんは、髪の毛に指を通しながら優しく温風をあてる。

一緒にお風呂に入らなくても、こんな風に私の髪の毛をドライヤーで乾かしてくれる事もよくあった。今日は、久しぶりだけど……

匠くんに髪を撫でられていると、本当に気持ちいい。もっと小さな頃は、髪の毛を乾かしてもらいながら、うつらうつらしてしまっていた。

朝、パチッ!と目が覚めたらベッドの中だった……なんて事も何度かあった。

「美羽の事、匠くんが運んでくれたのよ!」なんて、次の日お母さんに教えられると、なんか嬉しくなった。と同時に、心配になる。匠くん、ちゃんとおやすみのキス、してくれたかなぁ……なんて。

髪の毛が乾いて、匠くんがドライヤーをテーブルの上に置く。

「それとねー、美羽のあしに、ばんそうこうはってほしいの!」

「はいはい」

匠くんが、私の隣に座る。

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