呼吸(いき)するように愛してる
以上の事から、私の“小さめ”の原因は、全部自分のせいではないかと、お母さんは思っているようだ。

「美羽。たくさん食べて、たくさん遊んで、たくさん眠ろう!きっと、大きくなるから!あっ、朝の牛乳、残さず飲みなさい!」

朝食の時の、大人用のマグカップに並々と注がれた牛乳を、目をギュッ!と瞑ってなんとか飲み干す。お母さんの心配も、一緒に……

牛乳は好きだけど、このマグカップは大きすぎるよ!

その当時の私は、

『大きくなる』=『身体が大きくなる』

だと思っていた。

匠くんの言った『大きくなる』が『大人になる』事だとわかるのは、まだ先の事だ。

早く匠くんのお嫁さんになりたくて、私はがんばっていた。

『大きくなる』の意味をきちんとわかっていれば、小さめな事を、そこまで気にしなかったかもしれないのに……

「小さい美羽も、可愛いよ!」

小さめな事を気にする私に、匠くんはよくそう言ってくれたから……

私の思い込みの強さは、きっと、お母さん譲りだ。


──匠くんの指導を受けながら、チラシの短冊に練習をした。

「その字の大きさじゃ、短冊に全部書けないぞ」とか「あっ!そこは、縦棒じゃなくて、横棒を先に書く!」とか「美羽…願い事より、名前の文字の方が大きいのは、狙いかな?」なんて、かなりたくさん指導を受けたけど……

「………できた!」

私は短く息を吐いて、持っていたカラーペンを置いた。

短冊二枚、願い事と自分の名前を書ききった。

「うん!きれいに書けてる」

匠くんも、ニッコリと笑った。

それから二人で、星やハート、音符などのシールを短冊に貼ってデコレーションした。ますます、素敵な短冊になった。

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