呼吸(いき)するように愛してる
「想像通り…想像以上に、美羽ちゃん可愛い!要くんや、匠くんが可愛がるはずだね!天使みたい!」

匠くんの方を見ながら興奮気味に話す美里さんの褒め言葉に、私は何だか複雑な気持ちになる。

「興奮しすぎ……」

そんな事をボソッと言って、匠くんも美里さんの隣にしゃがむ。

「美羽、俺はこれから、美里さんを家まで送ってくる。中に母さんがいるから、クッキーは預けておいてくれる?」

……送ってくる……これから二人で、出かけるんだ……

私は一生懸命、口角を上げて笑おうとした。

「うん、わかった!」

「匠くん、私、大丈夫だよ!一人でも……」

「ダーメ!兄さんにも母さんにも、ちゃんと送るように言われてるし!もう、真っ暗だろ。一応、美里も女の子だし……」

美里さんの遠慮の言葉を、最後まで聞かずに匠くんが強めに言う。

「“一応”って何よ!だいたい匠くんは……」

「じゃあ、私、クッキー渡してくるね。美里さん、さようなら!匠くん、いってらっしゃい!」

二人の仲の良さげな言い合いを聞いていられなくて、私は、美里さんの言葉を遮るように言った。

匠くんの横をすり抜けて行こうとしたら、匠くんに腕を掴まれる。

「美羽、ありがとう!クッキー、楽しみにしてる」

私の腕から手を離した後、私の頭を撫でながら匠くんは言った。

「……うん!美羽、がんばったから、絶対においしいよ!」

そう言って「へへへ」と笑ったら、匠くんもニッコリと笑ってくれた。と、思ったら急に真顔になる。

「美羽、今日は兄さんには会わない方がいい。熱は下がったけど、咳は出てるから」

匠くんの言葉に、目を見開く。

「何で!?お母さんが要お兄ちゃんに、りんごどうぞって。お大事に!も伝えるんだよ!」

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