呼吸(いき)するように愛してる
再び、りんごの入ったナイロン袋を掲げながら言う。

「もし、美羽に風邪が移って、高い熱でも出たら大変だろ?」

「美羽、ちゃんとマスク……」

「ダーメ!!」

ポケットの中から、マスクを取り出しながら言ったのに、匠くんは、またもや強めに…美里さんに言った時よりもさらに強く「ダメ」を言った。

「匠くんの、意地悪!!」

私は、頬をプッ!と膨らませて匠くんを睨んだ。

「美羽ちゃん。もし、美羽ちゃんが熱を出したら、一番悲しむのは、あの優しい要お兄ちゃんだと思わない?」

優しく微笑む美里さん……

要お兄ちゃんが、さらに目尻と眉尻を下げて悲しそうな顔をするのが想像できた。プッ!と息を吹いて、膨らました頬を元に戻した。

「わかりましたっ!!」

そう叫ぶと、今度こそ匠くん家の玄関扉から中に入り、扉をバタン!と閉めた。

匠くんと美里さんが、寄り添って歩く姿は、どうしても見たくなかった。

「いってきます」という匠くんの声と「美羽ちゃん、バイバイ」という美里さんの声が聞こえたけど、何も答えなかった。

中に入ると、キッチンにともママがいた。 クッキーの入った袋と、りんごの入ったナイロン袋を渡す。

「美羽ちゃん、いつもありがとう!…匠、今出かけた……」

「うん!そこで会ったよ!…ねぇ、ともママ。要お兄ちゃんのお部屋に入らないから、お部屋の外でお話だけしてもいい?」

匠くんの事を、あまり話したくなくて、ともママに慌てて返事をする。

「そっか…美羽ちゃん、心配してくれて、ありがとう!」

ともママと一緒に、二階にある要お兄ちゃんの部屋の前まで行く。

「要!起きてる?」

扉をノックした後、ともママが中にいる要お兄ちゃんに声をかける。

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