呼吸(いき)するように愛してる
自分の家に向かいながら、再び空を見上げる。

たくさんの星がキラキラと瞬いているのに、私の願い事を叶えてくれるお星様は、一つもいなかったんだ……

保育園の七夕祭りで、短冊に書く願い事は、毎年決まっていた。

『はやくおおきくなりますように』

なのに、私はちっとも大きくなれなくて、匠くんには、とてもきれいでお似合いの『特別な女の子』ができてしまった……

「お星様の、バカッ!!」

さすがに大声は出せないけど、後頭部が背中にくっつくかもと思うくらい空を見上げ、口に出してみた。吐く息が、真っ白だ。

……私にもわかっている。これはきっと、“八つ当たり”ってヤツだ…と、この前お姉ちゃんに教えられたばかりの言葉を思い浮かべる。

匠くんは、周りの同級生の友達と比べても背が高い。美里さんも、きっとそうだ。

……匠くんは『大きくなったら結婚しよう』と私に言った。今の匠くんと美里さんなら、できるんじゃないのかな……?

自分の考えた事に、クラッ…とする。

「美羽じゃ、ダメなの……?」

星空に向かって、力いっぱい両手を伸ばした。

「美羽!何やってんの!?シチュー冷めちゃうよ!」

突然、バン!と玄関扉が開くと、お姉ちゃんがそう叫んだ。

「っ!はー…クションッ!」

お姉ちゃんの登場に我に返って、返事をしようしたが、くしゃみが出てしまった。ブルッ!と身体が大きく震える。さむっ!!

慌てて家の中に入った。

「あんたがさっさっと帰ってこないから、私が迎えに行くはめになったじゃない!」

お姉ちゃんは、ブツブツ言っている。

「ごめんね……」

鼻水を啜りながら、お姉ちゃんに謝った。思ったよりも長い時間、外にいたようだ。

それまで気にならなかったのに、家の中に入って初めて、自分の身体が冷えきっている事に気が付いた。

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