呼吸(いき)するように愛してる
*****


──バレンタインデーから、日付が変わった午前二時過ぎ。

私は、自分の部屋から両親が眠る寝室に向かった。

震える手で扉を開け、ダブルベッドに眠るお母さんの身体を揺すった。

「…美羽?どうしたの?」

「お母さん、寒いよ……」

お母さんに起こされたお父さんに横抱きにされて、私の部屋に戻った。そっとベッドに寝かされる。

「美羽、湯たんぽもしてやるから、ちょっと待ってて」

毛布をもう一枚掛けてくれた後、お父さんは、優しく微笑みながら言った。

私は、コクンと頷いた。体温計を手にしたお母さんが部屋に入ってきて、私の脇に体温計を挟んだ。

私は、ゆっくり目を閉じた。

お母さんが指で、私の前髪をそっと左右に避けていく。

ピピッ!と電子音が鳴り、私は閉じていた瞼を開いた。

私の脇から体温計を抜いたお母さんが、表示された体温を確認する。

「…まだ、上がりそうね……」

小さく息を吐いて呟くと、私を見た。

「美羽、高い熱が出てる。でも、まだ高くなりそう。…他にどこか、辛い所はない?」

「喉が、痛い…それと、頭も少し痛い……」

「そっか…喉が痛いなら、マスクしておこうか?マスク取ってきたら、お母さんずっとここにいるから、目、瞑ってて……」

右手で私の頬を優しく撫でながら、お母さんが、静かに言った。

「うん…あのね、要お兄ちゃんのお顔は見てないから、要お兄ちゃんのお熱が移ったんじゃ、ないからね……」

掠れそうな声で、熱で瞳を潤ませながら、でもどうしてもこれだけは、お母さんに言いたかった。

「うん、わかってる……美羽、目、閉じて……」

お母さんが頷いたので、私はホッとして、再び目を閉じた。

それからすぐのように、私の熱は四十度近くまで上がったらしい。私の意識は朦朧としていて、苦しかった事しか覚えていない。

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