呼吸(いき)するように愛してる
そうだよね……大学には、長いお休みがあるそうだし、すぐじゃなくっても、また会えるよね……!!

私は自分にそう言い聞かせて、寂しさを胸の底の方に沈めた。

でも!!……

匠くんが大学生だった四年間、私が、匠くんと会えたのは、ほんの二~三度だった。それも、チラッと顔を見たとか、一言二言言葉を交わした、とか……

まず、匠くんはあまり帰って来なかった。

匠くんが家を離れてしまう事がショックで、どこに行くかなんて、ちゃんと聞いていなかった。

「車での移動なら、帰ってくるのに半日近くかかる」

その事実を、匠くんがいなくなって一ヶ月近く経ってから、ようやく知った。

遠過ぎっっ!!どうしてそんな遠い場所を選んだのっ?

匠くん本人に言えない文句を、心の中で叫んだ。

要お兄ちゃんが行っている専門学校は、車なら片道三時間くらいで行けるそうだ。その気になれば、日帰りだってできる。

匠くんも、きっとそのくらいの場所なんだと、勝手に思い込んでいた。

それが、半日もかかるなんて……

そういう距離の問題もあってか、ほ・ん・と・う・に!四年間、ほとんど帰ってこなかった。

匠くんが帰ってきたと聞いて、会いに行っても、出かけた後だったりして、笑っちゃうくらいすれ違いだった。

きっと、罰が当たったんだ……他人の別れを、こっそり喜んだりしたから……

匠くんが私が思っていたより、ずっとずっと遠くに行ってしまったと知った頃。

ふと思って、ともママに、できるだけさりげなく聞いてみた。

「美里さんも、大学生になったの?」

私の言葉を聞いて、ともママは寂しそうに笑った。

「美里さんとはね、もうずっと前に、別れたみたいで、私も全然会ってないの。進路の事でいろいろ話して……どうしても、遠距離になっちゃうからって……」

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