呼吸(いき)するように愛してる
匠くんが大学生になってから、会う事はほとんどなかったけれど……

私の誕生日には毎年、プレゼントが贈られてきた。

カラフルで可愛いマカロンだったり、宝石箱の宝石のようなきれいなチョコレートだったり……

私の好きな物を、よくわかっている匠くんが選んだスイーツに、毎年歓声をあげながらそれを味わった。

どうしてこんなに、私が喜ぶ物がわかるのだろう?私って、単純?わかりやすい?

……たとえ、そうだとしても……そのプレゼントを選んでいる間、匠くんは私の事だけを考えているはず……

ついつい、頬が緩んでしまっていた。


一学期の終業式の日、みちるちゃんとヒロくんに話した。

匠くんが卒業した高校、東(ひがし)高に行きたいと。

私の成績を、だいたい知っている二人。

みちるちゃんは無言で私を見つめ、ゆっくりと瞬きをした後

「わかった」

とだけ、言った。

「はっ!マジ!?」

ヒロくんは目を丸くしたまま、短い言葉を放った。

お勉強が得意な二人は、東高を目指している。

ヒロくんは、その先の行きたい大学も決まっていて、そこまで考えての東校。

みちるちゃんは……

「家から、一番近い高校だから?」

「・・・」

デジャヴ……じゃなくって、数年前に聞いたセリフ。

あぁ……私の周りのお勉強が得意な人は、どうしてこういうセリフを簡単に吐けるのかしら……なんか、泣きたくなってきた。これから私は、脳ミソ溶ける程?お勉強しなきゃいけないのに……

私の強固な決意を伝え、夏休み中から私のお勉強に協力してもらえるよう、みちるちゃんとヒロくんにお願いした。

「どうか、お願いしますっ!!」

身体を半分に折って、二人に頭を下げた。

「美羽、顔上げて」

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