呼吸(いき)するように愛してる
そんな風に成長した私を、匠くんに見てもらいたかったのに……

それでも……前のように、車で半日もかかってしまう所にいる訳じゃない。同じ県内だ!そのうち、また会える……

そう考えた私は、甘かった。『銀行』という所は、ものすごく忙しい所のようだ。匠くんは、全然家に帰って来ない……

匠くんに会えないまま、私は高校で初めての夏休みを迎えた。

夏休みを迎える前、私の誕生日に匠くんからプレゼントが届いた。

匠くんが大学生になってからも、毎年手作りのお菓子を贈っていた。

パウンドケーキとかブラウニーとか、クッキーよりも難しい物も作れるようになったから、日持ちして形が崩れにくい物を選んで贈った。

『お誕生日、おめでとう!!
この一年が、匠くんにとってすてきな一年になりますように!』

カードに何を書こうか、一週間くらい悩むんだけど。伝えたい事は、たくさんたくさん、あるんだけど。

毎年、同じ言葉になってしまっていた。

匠くんから届いていたプレゼントも、ずっとスイーツだったんだけど、今年は全然違っていて、かなりびっくりした。

匠くんから届いた誕生日プレゼントは……

白いバラの花束だった。小ぶりの白いバラ。ラッピングや、掛かっていたリボンは、淡いピンクだったけど、バラの白色と葉の緑色だけの花束だった。

「すごく、きれいね……」

花束を見ながら、溜め息混じりにお母さんが言った。

「“十六才”になった今の美羽に、とてもよく似合う花束だと思うわ」

お母さんは、ニッコリ微笑んでそう続けた。

「そう…かな……」

最初はびっくりしたけど、だんだん照れくささと嬉しさで、顔が熱くなってきた。

白いバラの花束は、何ていうかとても清らかで……触れずに、そっと見守っていたい……そう思わせる空気を纏っていた。

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