呼吸(いき)するように愛してる
午前中から通行止めになっていて、今は歩行者天国だ。道路の両脇には、たくさんの屋台が出ている。

列車も、途中からどんどん人が増えてきた。

駅の外に出ると、人の熱気、祭りの高揚感、照りつける真夏の太陽……いろんな熱が押し寄せてきた。

それに加えて、久々に匠くんに会うという緊張感。何だか目眩がしてきた。

そんな私に気付いたのか、みちるちゃんがギュッ!と手を握ってくれた。

「美羽、こっち……」

みちるちゃんに手を引かれ、人の間を抜けて行く。

私とみちるちゃんは、十センチの身長差がある。小柄なみちるちゃんが通れるくらいの、わずかな隙間を狙って進んでいるようなのに、ちゃんと私も誰にもぶつかる事もなく、歩いている。

「みちるちゃん、くのいち……?」

私の呟きに一瞥だけして、みちるちゃんは歩いて行く。

……すみません。

駅に近いハンバーガーショップに来ていた。ちょうどお昼の時間帯なのでお客さんも多いが、お客さんの回転も早い感じだ。

二人だけだし、待たずに窓際のカウンター席に座れた。

「フゥ……」逆上せた身体を冷やすように、冷たいオレンジジュースを、ストローで一気に啜った。

「っ!ケホッケホッ!」

オレンジジュースが、変な所に入ってむせる。みちるちゃんに背中を擦られる。

「美羽、大丈夫?」

紙ナプキンで口元を押さえながら、涙目で頷いた。あぁ~…もうちょっとで、吹き出しちゃうとこだった。

落ち着いてきたところで、ハンバーガーを食べ始める。慌てずに、いただこう……

残りが、ジュースとポテト数本くらいになって、みちるちゃんがリュックから、紙を取り出す。

二人のトレイの間にその紙を置く。踊りの連の控え場所周辺や、連が通るコース周辺の地図だった。

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