呼吸(いき)するように愛してる
この前見たホームページの地図部分を、大きくプリントアウトしたもの。

踊りが始まるのが午後二時。匠くんがいる四つ葉銀行の連が踊る順番は、四番目。だから、早めに控え場所に集まっているはず…と、みちるちゃん。

ここを出て、すぐに控え場所の方に移動したら、午後一時過ぎにはそこに着けるだろう、という事だ。

みちるちゃんの言葉を、私は小さく何度も頷きながら聞いた。

ハンバーガーショップに入って、引いていた汗が、またじんわりと復活してきた。

顔を見るだけになるかも…話ができたら、誕生日プレゼントのお礼を言おう!……こんな遠くまで来て…匠くん、びっくりするかな?「よく来たな!」て、言ってくれるかな?

匠くんの顔を思い浮かべると、さらに緊張するけど、やっぱり、嬉しい。早く、会いたい!!

「美羽、顔がにやけてる……」

みちるちゃんに指摘されて、慌てて顔を引き締めた。


みちるちゃんも、知らない場所のはずなのに、何の迷いもなく進んでいく。さっき私に見せた地図を出す事もない。きっともう、頭の中に入っているのだろう。

今日は、というかいつもだけど、みちるちゃんに助けられてばかり。みちるちゃんがいなかったら、私は匠くんに会えていなかったと思う。

「みちるちゃん、ありがとっ!」

表情を変えずに、私の少しだけ前を歩くみちるちゃんに、お礼を言った。

「お礼は、匠くんに会えてからだと思う」

チラッと、目線だけ私に送ったみちるちゃん。

「うん、そうかもしれないけど、一回の『ありがとう』だけじゃ、足りないから!」

私がそう返すと、みちるちゃんは、フッ…と少しだけ頬を緩めた。

「そういうの、美羽らしい」

それだけ言うと、またすぐに前を向く。

歩行者天国の大通りは抜けて、今は建物の間の少し狭めの道路を歩いている。

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