呼吸(いき)するように愛してる
……どのくらい、歩いたのだろう?細い路地には、あまり人の姿を見かけなくなって、祭りの熱気も感じない。

少し肩で息をしながら、ようやく私は足を止めた。

「みちるちゃん……」

掴んでいた、みちるちゃんの手首を解放する。みちるちゃんも、フゥ…と息をつく。

「ここ、どこ?」

「・・・」

私の言葉に、みちるちゃんはガクッ!と項垂れた。


「みちるちゃん、ごめん!本当に、ごめんなさい!」

「ん……」

でたらめに歩いていた私が立ち止まり、態勢が通常のものに戻った。

みちるちゃんに手を引かれて歩きながら、私達は、さっきのやり取りを繰り返している。

……“やり取り”というか、私がひたすら謝っているだけ、なんだけど。

みちるちゃんの事、振り回しっぱなしなのに、今もこうして何も聞かずにいてくれる。

みちるちゃんと一緒で、本当によかった……いつも思っている事なんだけど、改めて実感している。

みちるちゃんは、何度か曲がり角で足を止め、キョロキョロとして「こっち」と迷いなく進んでいく。

そうして三十分程歩いて、無事、駅前に辿り着いた。

「これから、どうする?」

「帰りたい……」

「わかった」

みちるちゃんの問いに返した返事は、少し掠れてしまった。

それでも、みちるちゃんはしっかりと私の言葉を聞き取り、いつものように表情を変えずに了解してくれた。

駅で、帰りの列車の時間を調べる。三十分程の待ち時間だ。普通列車で来た時よりも、乗車時間が長くなる。

でも私にはその時間が、気持ちを少しでも整理するのに、ちょうどいい時間だと思った。

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