呼吸(いき)するように愛してる
列車の待ち時間の間、せっかくなので屋台に行った。

かき氷と、クレープを買う。

考えてみれば、真夏の日差しを浴びながら、ずっと歩き通しだった。落ち着いてくると、喉がカラカラに渇いていた。

いちご味のかき氷を一口、口に入れる。甘さと冷たさが、口内に広がったと思ったら、キーン!と頭が痛くなる。

みちるちゃんと二人、こめかみを押さえて笑った。

駅前のベンチに座り、のんびりとかき氷を食べた。のんびりと食べても、キーン!とした頭の痛みからは、逃れられなかった。

クレープは食べきれずに、列車の発車時間が近付いてきた。

駅にも駅前にも、どんどん人が溢れてくる。浴衣姿の女の子達の華やかさに、せつない気持ちになる。

踊りの開始時間になったようで、歩行者天国となっている大通りから、お囃子が聞こえてきた。

匠くんは、もうスタンバイしているんだろうな……美里さんも一緒に……

帰りの列車に乗り込む。乗客はそこそこいたが、四人掛けのボックス席に、みちるちゃんと向かい合って座る事ができた。

私もみちるちゃんも、特に話をする事もなく、窓から流れる景色を眺めていた。

外の景色が、田んぼや畑中心になった頃には、乗客も少なくなっていた。

「みちるちゃん、今日は遠くまで付き合ってくれて、ありがとう!」

私は、向かいに座っているみちるちゃんに、ペコッと頭を下げた。

「うん……」

みちるちゃんは、私を見ながら小さく頷いた。

「匠くんは、ちゃんと見つけました。……美里さんと、一緒だったけど」

「えっ!?みさと……さん?」

みちるちゃんが、目を見開いた。私は、コクンと頷く。

「そう、『美里』さん。匠くんの同級生で、……“元カノ”の美里さん。覚えてる?」

「覚えてる。……本当に、そうだった?見間違いじゃない?」

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