呼吸(いき)するように愛してる
顔に当てたタオルと背中から、みちるちゃんの優しさを強く感じながら、私は列車の中で泣き続けた。

列車が、私達の降りる駅に到着する。列車を降りると、トイレで顔を洗い、濡れたタオルで瞼を冷やした。……あまり、効果はなかったかもしれないけど。

まだ明るいなか、自転車で自宅に帰る。みちるちゃんが、家まで送ってくれた。

「一人でいたくなかったら、明日、うちに来ればいいから……」

そう言い残して、みちるちゃんは帰っていった。


翌日、お言葉に甘えて、朝食を食べたらすぐにみちるちゃん家に行った。

昨日、遅くなると言って出かけた私の早い帰宅に、お母さんはびっくりした。

「ちょっと、頭が痛くなって……」

心配するお母さんに「寝てたら大丈夫」とできるだけ顔を見せないように言った。

夕食も食べず、お風呂も入らずに、ベッドに横になった。

列車であれだけ泣いたのに、やっぱり、横になったとたん、涙が溢れてきた。……何も考えられず、ひたすら涙を流していたら、いつの間にか眠ってしまっていた。

朝早く目覚めれば、本当に酷い顔をしていて……

シャワーを浴びて、保冷剤や氷を使って、瞼をひたすら冷やした。

なんとか見られる顔になり、朝食を食べて、すぐに家を出た。

「顔、腫れてない?」

お母さんに言われたけど、「そう?」なんて曖昧に笑ってごまかした。

みちるちゃん家に行ったら、なぜかヒロくんがいた……

部活は、今日は午後からだそうで。

「美羽、みちる。日曜日は、部活休みなんだよ。……昨日、二人でどこに行ってた?」

ヒロくんの、いつもより低い声。みちるちゃんは、いつも通り表情を変えなかった。……が、私は思わず、目を見開いてヒロくんを見た。

そんな私を、ヒロくんが見逃すはずがない。ていうか、最初から私だけを見ていたヒロくん。

「えっ!?…イヤ!……別に?何も……」

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