呼吸(いき)するように愛してる
バチッ!とヒロくんと目が合って、不自然に目が泳いだ。

別に悪い事をした訳ではない。普通にしていればいい。なのに、ヒロくんに強い口調で、真っ直ぐに見つめられると……

昨日の事をヒロくんに黙っていたのは、すごく悪い事のような気がして、さらにそれを責められているような気になって、どんどん挙動不審になる私……

みちるちゃんは、フッ…と溜め息をつき、ヒロくんは、ニヤッと勝ち誇ったように笑った。

結局、昨日の事をみちるちゃんが簡潔に話してくれた。匠くんを見つけてからの事は、私がたどたどしく話した。

最初は「フ~ン…」と聞いていたヒロくんが、美里さんを見かけた事を聞いたら、グッ!と眉間にシワを寄せた。

話し終わると、散々泣いたはずなのに涙が溢れそうになる。目に力を入れて、必死で堪える。

「美羽は、いつまでそうやってる?いい加減、匠くん以外の誰かを好きになる事、考えてもいいんじゃね?」

「えっ……!?」

匠くん以外の誰かを、好きになる……?悲しい、辛い……そんな風に思っても、匠くんの事は、大好きで……『好き』をやめられたらと、思った事はあるけど……

「結局、美羽は匠くんしか見てないんだよ。匠くん以外のヤツの事も、ちゃんと男として見ろよ」

「?……私、男の人の事は、ちゃんとそう見えてるよ?」

「バカッ!そういう意味じゃねえよ!匠くん以外のヤツも、その……“恋愛対象”として、ちゃんと意識しろって事!」

ヒロくんが、顔を赤くしながら言った。ヒロくんから、“恋愛対象”なんて言葉が出てくるなんて……

数々の告白を断り続けてきたヒロくん。そんな事に興味のない、“お利口なサッカーバカ”かと思っていた。

私が目を丸くしながら、ヒロくんを見つめていると「見るなバカ!」と言って、プイ!と顔を背けてしまった。

わからない……物心ついた時から、匠くんが大好きだった。今まで私は、匠くん以外の人を、その…“恋愛対象”として見ていなかったの?それすらも、よくわからない。

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