呼吸(いき)するように愛してる
この辺りは、周辺に学校がいくつかあるせいか、わりと広目の歩道が整備されている。

そこを、ヒロくん、みちるちゃん、私の順番で、のんびりと歩いていた。

学校から、五分くらい歩いた公園の前を通りかかった時、声をかけられた。

「朝倉 美羽さん!」

「はいっ!」

とっさに返事をして立ち止まり、声のした方を見る。みちるちゃんやヒロくんも、立ち止まった。

なっ、何?公園の方から聞こえたけど……

公園の出入口に、背の高い男子生徒が一人、立っていた。

「朝倉さん、いいお返事!」

「「「安西(あんざい)先輩?」」」

三人の声が見事に揃った。それもそのはず。三年生の安西先輩は、うちの学校ではかなり有名人。

現・生徒会長。特進クラス所属で、バスケ部の部長だった。一八〇センチを越える長身に、爽やかで端正なお顔。特進クラスなので、お勉強もできる。どこにいても、周囲の目を惹く人だ。

あぁ~……ここにも天の神様が、二物も三物も与えちゃった人がいるよ……

初めて安西先輩を見たのは、入学式。壇上の安西先輩を見ながら、私は、そんな事を思ったんだ。

それからあっという間に、安西先輩の大まかなプロフィールは、新入生女子の間で広まった。

入学して、一ヶ月も経っていない頃。

私は、一人で学校の図書室に来ていた。

本は小さい頃から大好きで、これまでも、学校の図書室はよく利用していた。

みちるちゃんといっしょに行く事もあるけど、一人で行く方が多かった。

さすが高校……やっぱり、これまでの学校と規模が違う。

もちろん本を借りる事もあるけど、どんな本が置いてあるのか、本棚の間を、探検してみるのも楽しかった。

心地よい静けさの中、本棚の間を探検していた時、あるタイトルが目に入り足を止めた。

< 94 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop