呼吸(いき)するように愛してる
「一年六組 島広樹くん。それは、彼女に話す事で、君に話す必要はないと思う」

真っ直ぐな強い視線で、ヒロくんを見ながら安西先輩は言った。

……何ていうか……大きな男子達の睨み合いって、それだけで妙な迫力がある。……ていうか、何でこうなってるの?

「念の為の確認だけど、君と朝倉さんは、付き合ってないよね?」

安西先輩の問いに、今度は私がすぐに反応した。

「付き合ってません!ただの幼なじみです!」

「否定、はやっ!!」

ヒロくんが、なぜか唇を尖らせながらそんな事を言った。

中学から、度々聞かれてますからね。条件反射です。

「美羽、私達待ってるから、行ってきてもいいよ」

それまで黙っていたみちるちゃんが、表情を変えずにそう言った。

「とりあえず、ここは移動した方がいい」

そう言われて、サッと辺りを見回す。

ここは、こっち方面に帰る子は必ず通る場所だ。こちらを気にしながら通って行く、うちの生徒達……

「っ!安西先輩、わかりました」

安西先輩に続いて、三人で順に自転車を引いて公園に入る。

入ってすぐの出入口を避けた所に、自転車を止める。みちるちゃんとヒロくんも、そこで待っていてくれるようだ。

「ごめんね、二人共。ちょっと行ってくるね」

「うん」

みちるちゃんは、小さく頷いてくれたけど、ヒロくんは不機嫌そうに唇を尖らせたままだった。

公園の中の出入口から見える所にベンチがあって、そこに安西先輩は立っていた。

「お待たせしました!」

私が軽く頭を下げながら言うと、安西先輩は、ニッコリ微笑んで首を振った。

「こっちこそ、こんな所で待ちぶせてごめん!……図書室で、偶然を装って会うのを、待っていられなくて」

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