呼吸(いき)するように愛してる
……ん?いくつか、気になるワードが……やっぱり『待ちぶせ』だったのかとか、「偶然を装って会う」とか……どういう意味?

思わず、安西先輩をジッと見つめていたら、クスッと笑われた。

「そんなに見つめられたら、照れるんだけど。……とりあえず、座ろうか」

「すみません!」

謝って、俯いた。ベンチは、私が腰かける辺りはきれいになっていて、安西先輩がゴミを払ってくれたのだと思った。

安西先輩の隣に、少しだけ距離を置いて座る。

身体中から変な汗が流れるのは、八月の暑さのせいだけじゃない。

膝の上でキュッと握った手を、見つめる。

「図書室で、朝倉さんに初めて会った時……」

安西先輩が口を開いて、そっと安西先輩を見た。

私を見ていた安西先輩と目が合って、ドキッとする。

「素直で、可愛い子だと思った。何度か偶然出会って、話をするようになって……そのわずかな時間を、楽しみにしている事に気付いた」

静かに語りながらも、私を見る安西先輩の眼差しは強くて、目が逸らせない。

「図書室で偶然を装って会って、君と話す時間が増えていくたび、もっと話したい!もっと君の事が知りたい!……そう思うようになった」

「っ!……」

私は、安西先輩の眼差しと想いを受け止めながら、呼吸も瞬きも忘れていた。

そこで安西先輩が視線を逸らして、フッ…と自嘲気味に笑った。

私も、ハッ…と息をつく。

「俺は、大学受験を控えている。本当は、それ以外の事に気をとられている場合じゃないんだけど……」

再び、安西先輩の眼差しに囚われる。

「何もせずに諦めたくなかった。君に、俺の気持ちを知ってほしかった。……朝倉美羽さん、好きです。まずは俺の事、君にもっと知ってほしいから。その時間を、俺にくれる?」

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