どうしてほしいの、この僕に
声が思ったように出ない。私の目の前にあるのはバラの大きな花束だ。想定外の出来事に茫然となった。
「お前以外に誰がいるんだよ」
頭の中が真っ白になっている私の顔にぐいぐいと花束が押しつけられた。彼は私の反応を面白がっているらしい。
「ありがとう」
花束を受け取りながら、1年ぶりに優輝を正面から見つめる。
長めの前髪は相変わらずだが、後ろ髪が結べそうなくらい長くなっていた。
「ずいぶんかわいい変装だな。サングラスより眼鏡のほうが俺は好き」
「ちょっ……いきなり何を言う!?」
久しぶりの再会だというのに、ブランクは一瞬で埋められる。
優輝は私の手からスーツケースを奪い取り、空いた手に指を絡ませた。
「かわいいものをかわいいと言って何が悪い?」
不敵な笑みで見下ろされると、頬がじわじわと熱くなった。
彼がSNSにアップする写真は毎日チェックしていたけど、直接彼に見つめられるのは1年ぶりだ。
——やっぱり実物のほうが断然いい。
隣を歩く優輝を横目で見る。
「あの、どうして花束を?」
オーディションのときは見えない花束だったが、今度は本物のバラの花束だ。何か特別な意図があるように感じるのは、うぬぼれがすぎるだろうか。
「未莉には花が似合うと思ったから」
珍しく照れたような顔をして優輝は目をそらし、握っている手に力を込めた。
「とりあえず俺んちに案内する」
私は頷いて、彼に従った。
優輝の住むマンションは日当たりが良く、開放感のある間取りで、思わず「何もないね」と口走ってしまうほどスッキリしていた。
「居心地悪いだろ」と優輝はほくそ笑んだ。
「うん。前と全然違う」
目立った家具といえば、小さな冷蔵庫と固めのソファと間仕切りの向こうに見えるベッドくらいだ。
立ちっぱなしも変なのでソファの端に座る。
優輝は冷蔵庫からペットボトルを取り出した。
「未莉が自分から俺のところに来たってことは……」
「え?」
急に彼が私の隣に座り、体を摺り寄せてきたので、私は身を固くした。逃げようにもソファのひじ掛けがそれを阻止するし、優輝は肩に手を回して私を腕の中に抱きとめる。
「俺とどうなってもいいという覚悟はあるな?」
耳元で囁かれる言葉が私の心を瞬時に絡めとっていく。
——そんなこと、わざわざ聞かないでよ!
「お前以外に誰がいるんだよ」
頭の中が真っ白になっている私の顔にぐいぐいと花束が押しつけられた。彼は私の反応を面白がっているらしい。
「ありがとう」
花束を受け取りながら、1年ぶりに優輝を正面から見つめる。
長めの前髪は相変わらずだが、後ろ髪が結べそうなくらい長くなっていた。
「ずいぶんかわいい変装だな。サングラスより眼鏡のほうが俺は好き」
「ちょっ……いきなり何を言う!?」
久しぶりの再会だというのに、ブランクは一瞬で埋められる。
優輝は私の手からスーツケースを奪い取り、空いた手に指を絡ませた。
「かわいいものをかわいいと言って何が悪い?」
不敵な笑みで見下ろされると、頬がじわじわと熱くなった。
彼がSNSにアップする写真は毎日チェックしていたけど、直接彼に見つめられるのは1年ぶりだ。
——やっぱり実物のほうが断然いい。
隣を歩く優輝を横目で見る。
「あの、どうして花束を?」
オーディションのときは見えない花束だったが、今度は本物のバラの花束だ。何か特別な意図があるように感じるのは、うぬぼれがすぎるだろうか。
「未莉には花が似合うと思ったから」
珍しく照れたような顔をして優輝は目をそらし、握っている手に力を込めた。
「とりあえず俺んちに案内する」
私は頷いて、彼に従った。
優輝の住むマンションは日当たりが良く、開放感のある間取りで、思わず「何もないね」と口走ってしまうほどスッキリしていた。
「居心地悪いだろ」と優輝はほくそ笑んだ。
「うん。前と全然違う」
目立った家具といえば、小さな冷蔵庫と固めのソファと間仕切りの向こうに見えるベッドくらいだ。
立ちっぱなしも変なのでソファの端に座る。
優輝は冷蔵庫からペットボトルを取り出した。
「未莉が自分から俺のところに来たってことは……」
「え?」
急に彼が私の隣に座り、体を摺り寄せてきたので、私は身を固くした。逃げようにもソファのひじ掛けがそれを阻止するし、優輝は肩に手を回して私を腕の中に抱きとめる。
「俺とどうなってもいいという覚悟はあるな?」
耳元で囁かれる言葉が私の心を瞬時に絡めとっていく。
——そんなこと、わざわざ聞かないでよ!