どうしてほしいの、この僕に
「別に」
「じゃあなんだよ。知り合いか?」
「違う」
「ちぇ、知り合いだったら紹介してもらおうと思ったのにな。一回でいいからこんな子と一緒に遊んでみたくないか?」
周りの男子は一斉に同意した。
俺は彼らの輪から抜けて自分の席へ向かう。くだらない会話に加わる気はなかった。
「でもよ、こういう女って案外遊んでそう」
「だよな。清純派な顔だけど実はヤリマンってこともありうる」
――コイツら……!
彼女を侮辱する言葉に、握ったこぶしが震える。
「うおー、マジかよ。これは絶対処女だろ」
「お前、夢見すぎ。こういう女ほど遊んでいたりするんだぜ」
「俺はヤリマンでもいいわ。つーか、俺とも一回やらせろって……」
さすがにもう我慢ならなかった。
握ったこぶしを机に打ちつける。ダン、と乱暴な音が教室に響いた。
「お前ら、いい加減にしろよ」
「なんだよ、真面目で優等生の森岡くんには関係ない話だから黙っていろよ」
挑発するような口調に乗せられてはいけない。そう思うものの、彼女が侮辱されているのを放置してはおけなかった。
「お前らだって、別の学校の女子に『アイツは童貞だ』とか言われたくないだろ」
遠巻きに様子をうかがっていた女子グループのひとりがプッとふき出す。
そこで予鈴が鳴った。
盛り上がっていた男子たちは急にしらけて、それぞれ自分の席へと散らばった。
俺の斜め前の女子が振り向いて「何、今の?」と話しかけてくる。
「別に」
「いきなりどうしたの?」
「どうもしない」
「柴田未莉のこと、好きなんだ?」
くだらない質問だ。返事をするのも面倒だから黙っていると、斜め前の女子は「まぁ」とあきれたような声を出す。
「ああいう子、男子はみんな好きだよね。でも雑誌の人気モデルだよ? どうせ相手になんかされないのに、バカみたい」
言いたいことだけ言うと、斜め前の女子は前を向いた。
隣の女子が俺に気遣うような視線をよこす。それに気がつかないふりをして小さくため息をついた。
斜め前の小柄な背中を睨む。山口沙知絵は幼馴染だ。そのせいで俺と沙知絵はいつもセットのように扱われるが、俺を支配しようとする彼女の言動にうんざりしていた。
母が死んでからはそれがエスカレートして、正直うっとうしい。
とはいえ、ここが俺の生きる場所だ。高校生の俺に選べる道はそう多くないのだ。
「じゃあなんだよ。知り合いか?」
「違う」
「ちぇ、知り合いだったら紹介してもらおうと思ったのにな。一回でいいからこんな子と一緒に遊んでみたくないか?」
周りの男子は一斉に同意した。
俺は彼らの輪から抜けて自分の席へ向かう。くだらない会話に加わる気はなかった。
「でもよ、こういう女って案外遊んでそう」
「だよな。清純派な顔だけど実はヤリマンってこともありうる」
――コイツら……!
彼女を侮辱する言葉に、握ったこぶしが震える。
「うおー、マジかよ。これは絶対処女だろ」
「お前、夢見すぎ。こういう女ほど遊んでいたりするんだぜ」
「俺はヤリマンでもいいわ。つーか、俺とも一回やらせろって……」
さすがにもう我慢ならなかった。
握ったこぶしを机に打ちつける。ダン、と乱暴な音が教室に響いた。
「お前ら、いい加減にしろよ」
「なんだよ、真面目で優等生の森岡くんには関係ない話だから黙っていろよ」
挑発するような口調に乗せられてはいけない。そう思うものの、彼女が侮辱されているのを放置してはおけなかった。
「お前らだって、別の学校の女子に『アイツは童貞だ』とか言われたくないだろ」
遠巻きに様子をうかがっていた女子グループのひとりがプッとふき出す。
そこで予鈴が鳴った。
盛り上がっていた男子たちは急にしらけて、それぞれ自分の席へと散らばった。
俺の斜め前の女子が振り向いて「何、今の?」と話しかけてくる。
「別に」
「いきなりどうしたの?」
「どうもしない」
「柴田未莉のこと、好きなんだ?」
くだらない質問だ。返事をするのも面倒だから黙っていると、斜め前の女子は「まぁ」とあきれたような声を出す。
「ああいう子、男子はみんな好きだよね。でも雑誌の人気モデルだよ? どうせ相手になんかされないのに、バカみたい」
言いたいことだけ言うと、斜め前の女子は前を向いた。
隣の女子が俺に気遣うような視線をよこす。それに気がつかないふりをして小さくため息をついた。
斜め前の小柄な背中を睨む。山口沙知絵は幼馴染だ。そのせいで俺と沙知絵はいつもセットのように扱われるが、俺を支配しようとする彼女の言動にうんざりしていた。
母が死んでからはそれがエスカレートして、正直うっとうしい。
とはいえ、ここが俺の生きる場所だ。高校生の俺に選べる道はそう多くないのだ。