強引上司がいきなり婚約者!?
藤也はデザートをパクパクと口に運びながら、ため息混じりに言う。
「志帆って、家事が壊滅的にダメなんだよな。それでも構わないって男もいるかもしれないけど、俺は自分で目一杯稼ぎたいし、結婚する相手にはできれば専業主婦でいてほしいから」
彼の淡々とした口調に、もうこれは藤也の中で決定事項なんだって思い知らされる。
たしかに私は、家事全般がほんのちょっと苦手だ。
とくに料理ができない。
掃除は嫌いじゃないけど、要領が悪くて時間がかかる。
几帳面な藤也に言わせれば、洗濯も不合格らしい。
でも彼が今までそれを責めたことは一度もなかったし、"結婚"を口にしたことだってなかった。
いったいいつから、私は彼に見限られてしまっていたのだろう。
ショックを受けて固まる私を視界の端に映し、藤也がシニカルに笑った。
端正な顔立ちに、冷笑がゾッとするほどよく似合う。
細い銀縁フレームのメガネを指で押し上げ、おもしろい冗談でも言うように戯けてみせる。
「ま、志帆って見た目はいいし、カラダだけならこのまま側に置いてやらないこともないんだけどな」
私はまるで頭から水をかけられたみたいに、肌がサッと冷えていくのを感じた。