男の秘密　－繋がる未来－
忍が反射的に立ち上がって、辛うじて優が床に激突する前に抱き止めた。

「あれ？・・体に力が入らない」

座っていた時は何も感じなかったのに、今は体に力が入らないだけでなく、ふわふわとしている。

「熱が。何時から？」

「分からないわ。ただ、ソファーで転寝をしてしまって・・・」

優を抱き上げ、優の部屋に向おうとするが、優は自分で歩けるからと言って、降りようとする。

「ダメだ。またフラついたらどうする。やっぱり昨日無理させた所為だな」


そう言って忍が優の部屋に入った瞬間、ピタリと動きが止まったので、不思議に思い視線を忍から部屋に移した。

「！？」

そう言えば、食欲が無くて、朝買って貰ったサンドイッチに手をつけられず、この部屋に持ち込んだ事を思い出した。

「まさか、今日何も食べてないなんて事ないよな？」

声のトーンが下がった事に気付いたが、どうする事も出来ず無言になる。

「食欲が無くて・・・」

「具合が悪いなら、無理して夕食を作らないで部屋で寝ててくれ」

言葉はキツめだが、優をベッドに下ろす動作はそっと大切なものを扱うようだった事に、心配している事が伺える。
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