男の秘密 -繋がる未来-
「大丈夫だと思ったの・・・ごめんなさい。心配かけて」

「おかゆか何か作ってこようか?」

「ごめんなさい。本当に何も食べたくないの」

「何か飲み物は?」

「・・・生姜湯。風邪をひくとおばあちゃんが作ってくれたの」

「分かった」

忍は、ふわりと優の頭を一撫でしてから部屋を後にした。




布団の心地よさからか、安心感からか、意識が遠のき、忍が生姜湯を持って部屋に入って来るまで目が覚めなかった。

「起き上がれるか?」

そう聞かれて頷くと、背に腕を回して抱き起こしてくれた。

「美味しい」

祖母の作ってくれた生姜湯とはまた違う優しい味がして、思わず笑みがこぼれる。

「そうか、良かった」



「私ね、夢見てこの前泣いたでしょ」

「あぁ」

「あの時、両親の夢を見たの。事故に遭う前の姿で、腕に私が抱かれてた。
 夢だって分かってたから、名乗らなかったんだけど、忍さんと結婚する事は報告できたの。
 ゆ、夢なのにお父さんも、おかあさんも凄く喜んでくれて、それで・・・」

最後に二人に言われた言葉を口にしようと思ったが、感情が高ぶって言う事が出来ない。

そんな気持ちを察してか、忍が優を抱きしめてくれる。
< 120 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop