男の秘密 -繋がる未来-
「ご飯にしよう」

そう言って、テーブルのおにぎりと菓子パンをさっさと片付けて、紙袋の中身を広げる。

和食の惣菜と炊き込みご飯がお重に入っていた。

「お茶入れるわ」

「俺がするから」

「一日何もしないで過ごすのって、結構大変なの。お茶くらい入れさせて」

苦笑しつつ立ち上がる。

心配してくれるのはありがたいが、自分の取り柄が家事だと思っている優には、家事を取り上げられると自分の存在価値が無くなったように思える。

直ぐにお茶を入れて、ついでに箸や皿なども用意して戻ると、忍の姿が無く、着替えに行っている事がわかる。

相手の行動が分かるのは、親しい証拠だと思う優には、嬉しい事だった。

部屋着に着替えて戻って来た忍は寛いだ様子で、オフモードだとわかる。

会話は多い方では無いが、お互いリラックスしているので、心地よさがある。

『家族ってこんな感じよね』

チラリと忍の顔を見てそう思った。
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