この想いが届くまで
翌朝、未央が目を覚ますとベッドには未央一人だった。
「……え、ここどこ……? ……いたっ……!」
はっきりしない頭のまま身体を起こすと、身体中の至る所が痛んで顔を歪めた。一番は二日酔いのための頭痛だ。
ふぅと大きく息を吐きまずは自分の状況を確認する。ベッドに素っ裸で寝ていて、自分が着ていた服や下着はは床に散らばっていた。そして少しずつ蘇ってくる記憶。未央の脳裏に昨夜バーで出会った男の顔が過る。
「やってしまった……!」
ベッドに膝を立て座ったまま頭を抱えているとガチャっとドアが開く物音にびくっと肩を震わせた。バスルームからバスローブ姿で出てきた男が濡れた髪をタオルで拭いながら出てくる様子を眺めていると目があった。
「起きた? おはよ」
にっこりと愛嬌のある笑顔で言われ未央は拍子抜けした。
未央の記憶の中にある昨夜バーで出会った男は、バーの薄暗くムードのある雰囲気の中だったせいもあるかもしれないが、艶っぽい雰囲気と儚げな印象を合わせた三十代半ばの大人の色香漂う人物だった。しかしたった今未央に笑顔を見せた男は、あっけらかんと爽やかな笑顔を向ける好青年だった。
男は髪を拭きながら未央の前を通り過ぎるとソファに腰掛けた。そして髪をかきあげながら流し目で未央を見つめる。その表情は男のくせに色気に満ちていて、未央は不本意だと思いながらも頬を赤くし、やっぱり昨夜バーで出会った男性であると確信する。
「出社前にシャワー浴びたら?」
「うっ、うん!」
未央は慌ててベッドを出ると、バッグの中から手に取ったものすべてを無造作に取出し必要な化粧品だけを持ってバスルームへと消えた。
シャワーのバルブを勢いよくひねり、最初は温度の低い水に近いお湯を頭からかぶり頭を冷やす。寒さに身をぶるっと震わせ自分の身体を抱きしめた。
酷く酔っていたとはいえ、いまだ身体の中に残る熱と感触。徐々に胸の鼓動も高まってくる。
身持ちの堅い方だと思っていた自分が簡単に身体を許してしまった。それだけ落ち込み、精神的に限界だったのだと自分を擁護し現実を受け入れた。
「……え、ここどこ……? ……いたっ……!」
はっきりしない頭のまま身体を起こすと、身体中の至る所が痛んで顔を歪めた。一番は二日酔いのための頭痛だ。
ふぅと大きく息を吐きまずは自分の状況を確認する。ベッドに素っ裸で寝ていて、自分が着ていた服や下着はは床に散らばっていた。そして少しずつ蘇ってくる記憶。未央の脳裏に昨夜バーで出会った男の顔が過る。
「やってしまった……!」
ベッドに膝を立て座ったまま頭を抱えているとガチャっとドアが開く物音にびくっと肩を震わせた。バスルームからバスローブ姿で出てきた男が濡れた髪をタオルで拭いながら出てくる様子を眺めていると目があった。
「起きた? おはよ」
にっこりと愛嬌のある笑顔で言われ未央は拍子抜けした。
未央の記憶の中にある昨夜バーで出会った男は、バーの薄暗くムードのある雰囲気の中だったせいもあるかもしれないが、艶っぽい雰囲気と儚げな印象を合わせた三十代半ばの大人の色香漂う人物だった。しかしたった今未央に笑顔を見せた男は、あっけらかんと爽やかな笑顔を向ける好青年だった。
男は髪を拭きながら未央の前を通り過ぎるとソファに腰掛けた。そして髪をかきあげながら流し目で未央を見つめる。その表情は男のくせに色気に満ちていて、未央は不本意だと思いながらも頬を赤くし、やっぱり昨夜バーで出会った男性であると確信する。
「出社前にシャワー浴びたら?」
「うっ、うん!」
未央は慌ててベッドを出ると、バッグの中から手に取ったものすべてを無造作に取出し必要な化粧品だけを持ってバスルームへと消えた。
シャワーのバルブを勢いよくひねり、最初は温度の低い水に近いお湯を頭からかぶり頭を冷やす。寒さに身をぶるっと震わせ自分の身体を抱きしめた。
酷く酔っていたとはいえ、いまだ身体の中に残る熱と感触。徐々に胸の鼓動も高まってくる。
身持ちの堅い方だと思っていた自分が簡単に身体を許してしまった。それだけ落ち込み、精神的に限界だったのだと自分を擁護し現実を受け入れた。