溺愛ドクターに求愛されて
でも私は、裕介が他の誰かを好きになってしまったらきっと耐えられない。
弱いと思っていた母は、強かったのだ。
何があっても、例え捨てられても一人の人を愛し抜く強さを持っていた人だった。
だけど私はやっぱり母のようには生きられない。
私はそんなに強くない。私は……。
「……り、さ……り」
遠くから名前を呼ばれた気がして、沈んでいた意識が浮上した。
「沙織」
その声にはっと目を開くと、心配そうな裕介の顔が目に入って何だか胸が苦しくなった。
「大丈夫? うなされてたし……泣いてるから、心配で起こしちゃった。寝てたのにごめんね」
「裕介……」
目の前にいる人が本物の裕介なのか不安になって、その身体にぎゅうっと抱きつく。
温かいぬくもりと独特の消毒のにおいがして本物の裕介だな、と安心する。
「抱きついてくれるのはすごく嬉しいんだけど……どうしたの、沙織」
心配そうな声でそう聞かれて、私ははっとして身体を離す。