溺愛ドクターに求愛されて
……何だろう、これ。
俺の、前世の記憶とかなのかな。
すごく、胸が痛いけど……病気のせいなんだろうか。
心臓の発作とは、違う痛みな気がするけど。
ていうか俺、手術中だったはずだけど……やっぱり死んだかな。
でも別にいいか。それが俺の寿命なら、受け入れるしかないよな。
死んだらもう発作に苦しむこともないし、制約にみじめな想いをすることもない。
だから、もういいか……何か疲れたな。
『それでよいのか。それではお前が願ったあの者と生きたいという願いは叶えられぬが、お前はそれでよいのか』
え? 誰? 願いって、何だ?
何だかすごく大事なことな気がするけど、何だろう。分からない。
頭にモヤがかかってるみたいではっきりしなくて、発作とは違う胸の痛みに、俺はただただ混乱する。