同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「……心境の変化なら、確かにあったよ」
嵐の誘いに乗った方が楽になれるかもって、一瞬頭をよぎった。
過去の別れだって、彼がずっと後悔していたことを知って、後味の悪さも薄れた。
お互い大人になったし、今の嵐となら、前より良い関係が築けるだろうって思う。けど。
「でも、それは比留川くんが……!」
思った以上に、彼を責めるような強い口調になってしまい、私はばつが悪くなりうつむいた。
……だって、比留川くんとのことで気持ちが不安定でなかったなら、いくら嵐が昔と変わったからって、地元に帰ろうなんて思わなかった。
今の仕事が好きだし、もっと長く続けて、自分を成長させたい。
それに、一緒に働く仲間も、上司も、大切な人たちばかりだ。それは自分が今まで頑張ってきたから勝ち得たもので、簡単に捨てていいわけがない。
でも……一番大切な人からの信頼がなかったら、私はこんなに弱い。
「……俺が何?」
苛立ちの滲んだ声に、喉の奥が詰まったように苦しくなって、目頭が熱くなる。