同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「これでも社長とお付き合いするようになって、減らしたんですよ」
「へええ……ちなみに、この中だったら八重ちゃんのお気に入りはどのイケメン?」
「私は……彼です! “アブノーマル刑事☆僕に逮捕されなさい”、略してアブ刑事のメインキャラ、白石渉(しらいしわたる)!」
彼女が人差し指をぴんと伸ばした先には、部屋の中でもひときわ目立っている等身大のポスター。
その中でふわりと優しく微笑む白スーツに金髪のイケメンは、なるほど彼女の好きそうな王子系だ。
刑事なのに白スーツってのは捜査上不利な気がするけど、まあきっとそこを突っ込む作品ではないんだろうな。
「ははぁ……髪の色はともかく、社長をイラストにしたら、こんな感じかも」
「ですよね! でも、社長のほうがやっぱり素敵ですけど……」
ほくほくした表情で喜ぶ八重ちゃんが、今はなんだか眩しい。
こう言ったら失礼かもしれないけれど、この部屋を見る限りオタクと呼んでも過言ではない八重ちゃん。
そんな彼女が我らがミストコーヒーの霞社長を射止めるなんて、きっとだれも予想しなかったシンデレラストーリーだ。
私だって、本当はシンデレラになりたかったけれど……蓋を開けてみたら、やっぱり最後まで桃太郎を脱却できなかった。
再び気持ちが沈んできた私は、床に体育座りをして背中を丸める。