同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~


沙弓さんに言われることといえば、なんとなく“迅に近づかないで”とか“迅は私のだから”とかそういう類の話かと勘ぐっていたけれど、そうじゃないみたいだ。

それにしても彼の本性って……?

目を瞬かせる私に、沙弓さんは得意げな調子で続ける。


「今の迅って、あんまり親しみやすくないというか、クールぶってるというか、硬派気取ってるところあるじゃないですか。でも、本当の彼は違うんです」

「……本当は、優しい、とか?」


それなら私も知っているし、本性というほどのインパクトはないけれど……。

自信なさげに聞いてみたら、案の定沙弓さんは首を横に振った。


「論より証拠。……これ、見てください」


彼女がポケットからスッと取り出したのはスマホ。画面を何度かスワイプした彼女は、ある画像を私の前にずいっと見せつけてきた。

それは晴れた日の海の砂浜で撮られたのであろう写真で、ウエットスーツ姿の三人の人物が映っている。

最も肌が黒光りしている明るい茶髪の男性は今より若そうだけどおそらく玄太さん。

そして、隣には若いというよりまだ幼い沙弓さんも笑顔で映っていて……反対側の隣にいる男性だけは、見たことのない人。

玄太さんほどではないとはいえこんがりと灼けた肌に、海で濡れた金髪をうっとうしげにかきあげる姿は、いかにもサーファーという感じで少々チャラい印象だ。

あれ……? 待って。沙弓さんは今、比留川くんの“本性”について話していたんだよね。

と、いうことは、この金髪サーファーはもしや……!


「……そうです。これ、大学生になったばかりの頃の迅。超モテて、超チャラくて、超超女たらしだったんですから!」



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