同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「これ以上は、ダメ。つーか、ホント、今のも忘れて」
一旦頭を冷静に戻し、抑揚のない声で告げる。
俺はその週末、みちるに対しての複雑な感情を持て余していたため、彼女と過ごすことを諦め玄太を誘って地元に帰るつもりだった。
そのことを伝えるだけ伝えると、みちるから逃げるように自分の部屋にこもった。
しかし、あとから彼女を置いてきてしまったことを後悔した。
湘南の海にはいい波が来ていたのにサーフィンには全く集中できなかったし、砂浜で休憩しているときに掛かってきた電話で、さらに動揺させられることになってしまったから。
「……笹川? あー、もしかして、封筒のことか」
スマホの着信に気付いてそう呟いた俺は、湿った手をタオルで拭って電話に出る。
その内容は予想通りのもので、笹川が探している封筒は俺が持っていて、さらにはうっかり自宅まで持って帰ってしまっていることを詫びた。
『ううん、あるならいいの! 私なくしたかと思っちゃってさ』
「ああ、ちゃんとある。なんなら今家にいる難波に頼んで――」
そう口にしてから、自分がとんでもないことを口走ってしまったことに気付く。
『え? 難波って……みちる? みちるなら、今隣にいるけど……』
しかし、笹川は鈍感らしく、あまりピンときていないらしい。
にしても、今そこにみちるがいるのか? まあ二人も同期だし、会社でも親し気だから特に不思議はないが……。