同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~


「……そうか。もともと約束してたのか?」


こんな質問はかなり不自然な気もするが、今自分は離れた場所にいるからこそ、みちるの行動が気になって仕方がない。


『ううん、偶然会ったの。ちなみに私、みちるが元彼に言い寄られてる決定的瞬間見ちゃったんだ~』

『ちょ! 理央!』


電話の向こう、笹川の声を遮るようにして、みちるが慌てて抗議している声が耳に入る。

元彼……。笹川とは偶然会ったのなら、それまでみちるはソイツと会っていたということか?

俺が、昨夜ひどい態度を取ったから?


「……へえ。そりゃ確かに決定的瞬間だな」


嫉妬心を悟られぬよう、わざと面白がっているように言ってみた。

しかし、そんな話題に乗るべきではなかったとすぐに後悔することになる。


『でしょ? みちるもまんざらじゃなさそうだったし』


俺は思わずスマホを落としてしまいそうになった。

今すぐ笹川に「難波に代わってくれ」と言い出したくなるほどに、胸がざわめいて落ち着かない。

そんな俺を我に返らせてくれたのは、ウエットスーツ姿で砂浜を駆けてきた玄太だった。


「おい、いつまで休憩してんだよ、早く来い――って悪い、電話中か」


玄太……お前が空気の読めないヤツで助かった。

俺は冷静さを取り戻し、笹川に言う。


「ああ悪い、俺も今友達といるんだ。とりあえず、封筒は月曜に渡すから」

『うん、また月曜に。ありがとねー』


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