同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
笹川との通話を終えた俺は、再びボードを手にして玄太とともに波打ち際に向かって歩いていく。
そのときの俺は、無意識に表情を険しくしていたらしい。
「……迅、なんか機嫌悪くね?」
さすがは腐れ縁の仲。何も考えていないようで、俺のことをよくわかっている。
「ああ……最悪だ」
「みちるちゃん絡みか? お前ら今どうなってんだよ」
俺は玄太を無視して海に入り、ボードに身体を乗せると沖を目指してパドリングする。
どうにかしてこのぐちゃぐちゃな感情から解放されたい。その一心で、いい波を追いかける。
しかし、どんなに上手くテイクオフできても、爽快なライディングができても。
脳裏に浮かぶのはみちるのことばかりで、気持ちは晴れないまま。
「……オイ、もうその辺でやめとけよ。明日の朝来ようぜ」
夕方になると、それまで綺麗だった波がオンショアでがたがたに乱れてきた。
それでも海に入ることをやめない俺を見かねて、玄太が浅瀬を歩いて俺を止めに来た。
「……先帰ってていいぞ」
「アホか。お前の実家に泊まらせてもらう約束なのに、本人置いて行けるか」
「ここ来る前にも、車借りに一回うち寄って挨拶したんだからいいだろ」
「そういうことじゃねえっつの。……つか、お前顔色ヤバい」