同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「……お前、マジで帰る気か」
そのとき背後でぎし、と床を踏み鳴らす音がして、重い頭を振り向かせると、そこには呆れ顔の玄太がいた。
もともと早朝サーフィンをするつもりだったから、目覚ましでもかけていたのだろうか。
「帰る。……親にはお前からなんか適当に言っといて。仕事で呼ばれたとかなんとか」
「なんで俺が嘘の片棒を担がなきゃならねーんだよ。……でもわかった、そこまでお前がみちるちゃんに会いに行きたいなら付き合う」
玄太はそう言うと階段の下へ歩いていき、両親の部屋がある二階に向かって叫ぶ。
「おばさーん! 迅が大好きなカノジョに会いに東京帰りたいっていうから、俺も帰ります!」
お前は何を勝手に本当のことを暴露してるんだ……!
つかみかかって抗議したいところだが、あいにく今の俺にそんな元気はない。
ふらつく身体を壁にもたれさせていると、二階からパジャマ姿の母親が降りてきて、俺の顔をじっとのぞき込んだ。
「別に、へーき……だから」
そう言いつつ、昔から冴えわたる母の勘というのを怖れて、視線は合わせられなかった。
しかし、それくらいでごまかせないからこそ、母の勘なのである。
「……そうは見えないわ。でも、どーせお母さんよりカノジョに看病してほしいっていう魂胆でしょ?」