同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
伏し目がちに言って、コーヒーに口をつけるみちる。
俺がその“嘘”に気付いたタイミングを、きっと彼女は勘違いしている。
「……知ってたよ」
「え?」
「みちるが岡山出身だってのは、知ってた。はじめて俺の部屋に来た時、ちょっと方言出てたし」
「え、う、嘘! そんなに前から……!?」
テーブルに身を乗り出して、目を見開くみちる。
でも、驚くのはまだ早い。俺が嘘に気付けた理由は、他にもっと大きな理由があるのだから。
「その時は、まだ疑いでしかなかった。でも、次の日みちるのすっぴん見て、確信したんだ。……みちるは、俺が岡山にいたころ好きになった人と同一人物だって」
まっすぐに彼女を見つめて、今まで語ることのなかった過去に触れる。
かなり衝撃を受けたらしいみちるはぽかんと口を開いて、そのまま固まってしまう。
「大学は地方だったって、前に言わなかったっけ? ……俺、岡山にある国立大に通ってたんだ」
「……! ってことは、もしかして嵐と同じ……?」
ゆっくりと事態を飲み込み始めたらしいみちるが、確認するように尋ねる。
俺はコクリと頷き、あの頃の記憶をひとつひとつ呼び起こしながら話しだす。
「みちる、彼に会いによく大学来てただろ? あまりに仲がいいカップルだからって、学生の間では有名だった。俺も、最初は微笑ましいなと思うくらいで遠巻きに眺めてるだけだったけど……」