同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
* * *
「そういうことだったのか……」
嵐と喫茶店にいた経緯を話すと、ハメられたな、とため息交じりに言いつつ、そこまで悔しくはなさそうな比留川くん。
「うん。嵐ってば、わざと岡山弁使ったんだって。後で聞いたら、“びびらせるにはあれが一番”って笑ってた」
喫茶店を出た私たちが、そんな会話をしながら向かう先……それはもちろん、あのマンションだ。
結局、私が帰らなかったのは一日だけ。
……まるで中学生のプチ家出みたい。そのスケールの小ささが、なんだか恥ずかしい。
「まあ、多少怖いイメージがあるのは確かだな。岡山弁」
「えー、比留川くんに言われるとちょっとショック……」
そのイメージを利用して沙弓さんを威嚇したのは、ほかでもない自分だけどさ。
そういえば、彼女大丈夫かな。いつか仲直りできるだろうか……。
昼間のトイレでの一件を思い出し、少しの罪悪感に苛まれる。
「でも、みちるの口から出る岡山弁は好き」
「へっ?」
違うことを考えていたところで急に褒められて、間抜けな声が出る。
見上げた先の比留川くんは悪戯っぽい笑みを浮かべていて、それから急に立ち止まると、私にこんなお願いをしてくる。
「ねえ、もう一回、岡山弁で俺に告白してよ」
くっきりとした二重にふちどられた彼の瞳はは微笑みながらも真剣な色をしていて、どうやら本気で言っているみたいだ。
だけど……。