同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「本当……なんだね。“溺愛体質”――って」
照れ隠しにそう口にすると、比留川くんが苦笑する。
なぜならそれこそが、彼の秘密だったから。
好きになった相手をこれでもかというくらいに溺愛し、周りが見えなくなってしまうという恋愛体質。
それが原因で、高校の頃の彼女には“迅に愛されるのはうれしい。でも、私がダメになる気がする”と言われて、別れを告げられてしまったこともあるらしい。
その彼女とは上手くいかなかったかもしれないけれど、私と比留川くんという組み合わせに限っては、きっと大丈夫。
私はあなたが隣にいると、ダメになるどころかパワーがみなぎる気がするんだ。
今日の仕事中にも、ちょうどそのことを実感した。
「今日……比留川くん、仕事で助けてくれたでしょう? 私ね、うれしかったけど、悔しくもあった。自分の商品知識のなさが露呈して、情けなくて……でもね、今はそれをバネにして成長しようって、前向きな気持ちなの。そう思えるのは、近くに比留川くんという尊敬すべき同僚がいるからだよ? だからね……」
恋人としても、同僚としても、刺激し合える関係……私たち、きっとそんな二人になれる。
比留川くんの手をそっと自分の両手で包み込んで、私は告げる。
「私は、ダメになんかなんないけえ、よーさん、愛して。私も、いっぺえ愛してあげらー」
はにかみながらリクエストに応えた私を、比留川くんは可愛くてたまらないという風に、きつく抱きしめた。