同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「そりゃ、当然きみが若手の有望株だからだよ。……あ、そうだ。そろそろこれをきみに見せてもいいかな」
何かを思い出したかのように、部長が自分のデスクの引き出しを開けて、その中から輪ゴムで束ねてある封書を取り出す。
なんだろう。けっこういっぱいあるみたいだけど……。
「相談室に、お客様からの手紙が届くことがあるだろう? まず僕がチェックして、クレームに関するものはすぐきみたちに渡して処理してもらうけど、これはまた内容がちょっと特殊でね」
「特殊……?」
首を傾げて、聞き返す。
部長は封書を輪ゴムから外して私の方に差し出し、「読んでみて」と笑顔で促した。
わけがわからぬまま封筒から便せんを取り出し、カサリと開いて書かれている文字を目で追う。
「え……これ……」
こんな手紙が届いていたなんて、知らなかった。まさか、これ全部がそうなの……?
試しにもう一通の手紙も開き、目を通してみる。
手書きの文字をひとつひとつ追うたび、胸に熱いものがこみ上げた。
「そう。これ全部、きみへのファンレターだよ。きみはまだ若いし、あまり慢心してもいけないと思って、見せるタイミングを計ってたんだ」
「うそ……どうして、私なんかに……?」
確かに日ごろからお客様と話はしているけれど、ファンになってもらえるほどのことをしているとは思えない。
会社独自のマニュアルと、それから自分の経験を頼りに、ある程度いろいろなことに対応できるようになったとはいえ、まだ完璧とは言い難いし……。