同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「きみの仕事に対する姿勢は、ちゃんとお客様に通じているということだよ。ほら、これなんか一番新しいものだから、きみもお客様のこと覚えているんじゃない?」
部長が指さした封筒は、清楚な水色。手に取って差出人の名前を見ただけで、私ははっと気が付いた。
「これは……もしかして、あの時の……」
小さくつぶやいて、ゆっくり封筒から便せんを取り出す。
夏らしい空柄の爽やかな便せんには、こう書かれていた。
【夏空が眩しく感じられるころとなりましたが、暑さに負けず仕事に励んでおいでですか。
私は難波様に教えていただいたコーヒーにたっぷりの氷を入れて楽しむことを覚え、毎日それを飲んで涼を感じております。
難波様とお電話で話したあの日、本当は電話を掛けるかどうか、とても迷いました。商品の名前も忘れてしまった老女の話など、取り合ってもらえないかもしれないと思ったからです。
しかし、難波様は私の話に根気よく付き合ってくださり、こちらが求めていた商品が終売であるにもかかわらず、よく似た味の別のコーヒーを紹介してくださいました。その真心が、私はとても嬉しかったのですよ。
難波様の年齢は存じませんが、声の感じからしてきっとお若くて綺麗な方なのでしょうね。もっと経験を積んで、より素敵な女性に成長されますことを、心からお祈りいたします。
これからますます暑さは厳しくなります。どうぞご自愛くださいませ。】