同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
「……久我さん!」
振り返った先には、不敵に笑う元上司。
何故ここに? そしてまさか、私が今言った言葉の意味がわかったの……? だとしたらマズイ!
「わ、私、仕事に戻らせていただきま――」
くるりと方向転換したものの、久我さんにジャケットの襟をつかまれて前に進めない。
「悪かったな。余計なことして」
ぎゃー! やっぱりばれてる!
不機嫌そうなかすれ声を聞いた私は、じたばたしながら慌てふためく。
「久我、用件は?」
「あーそうだった。霞がな、来月の夏休みにおかっぱ娘を別荘に誘いたいんだと。で、どうせなら人数が多い方が楽しいだろうって、一緒に行きたいやつがいないか募ってて」
ようやく襟を離してもらえて、すぐにでも逃げ出したいところだけれど、彼らの話がちょっと気になる。
おかっぱ頭って八重ちゃんだよね? 八重ちゃんと社長の恋路を垣間見れてしかも社長の所有する別荘にお邪魔できるなんて、かなり魅力的な夏休みじゃない?
そんな私の下心を、久我さんはすぐに見抜いてしまう。
「……桃太郎、行きたいのか?」
「え! いいんですか?」
「ああ。お前あの娘と仲いいしな。俺も嫁連れていくつもりだし……比留川も誘ったらどうだ?」
わーい! さすが社長、太っ腹!
行く行く! 久我さんの奥様といえば管理課時代の元先輩だし、久しぶりにゆっくり話したい!