同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~


「パパー、今日はどこにお泊りするの?」


背後から聞こえるあどけない女の子の声は、コーヒー開発課柏木さんとその奥様愛海さんのひとり娘、五歳の愛咲(あいさ)ちゃんのもの。


「城。……みたいな形の建物らしいぞ」


かなり子煩悩らしい柏木さんは、会社で見るスーツ姿とはかけ離れた花柄プリントのサーフパンツに白のVネックTシャツを纏い、そしてこれまたレアな笑顔で愛咲ちゃんと話す。


「えっ! 本当に!? アイサドレス持ってこなかった……」

「大丈夫だ。愛咲は何着てても可愛いから」

「ありがとパパ。でもママがしっとしちゃうから褒めるのはそれくらいにして?」

「愛咲……どこで覚えたのよそんな言葉。せめてヤキモチと言いなさい」


柏木さんの反対側で愛咲ちゃんと手をつなぎ苦笑する愛海さんは、今回の女子メンバーの中では最もナイスバディなセクシー系美女。

胸元がぱっくり開いた黒のワンピースから覗く谷間に女の私ですらちょっとドキドキしちゃうけど、これで一児の母なんだからすごい。


そんな、アツアツカップル&仲良しファミリーに挟まれている私と迅だって飛行機を降りてからずっと手をつないでいるのだ。仲の良さなら負けてない!

海の色のようなグラデーションシャツに黒のハーフパンツを合わせた、シンプルながら迅によく似合う私服コーデにときめきつつ、握った手にさらに力をこめる。

ただ、到着してからというもの、迅の視線がせっかく女っぽさをアピールするために真っ白なロングワンピースを着てきた私より、どうも海の方にばかり向けられているような気はするんだけど……。




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